宝石としてのダイヤモンドの価値を不動の位置に押し上げたのは、その研磨とカットです。
また、ダイヤモンドはカットによって大別されています。
カットの種類にご興味がある方はお付き合い下さい。

ダイヤモンドのカットについて

ダイヤモンドはその硬さのため、長い間研磨できずにいたのですが、14世紀になって表面に三角の面を付けた「ローズカット」が生まれ、後に「ブリリアントカット」が完成されます。
ダイヤモンドの価値が劇的に変化したのは、このカットのおかげです。

代表的なダイヤモンドのカットは「ブリリアントカット」と「ステップカット」とに大別され、その他、ローズカット・ブリオレットカットなど、多数のカットがあります。

外に向かって強い輝きを放つのがブリリアントカット、強い輝きを内に秘めるのがステップカットです。
無色透明のダイヤモンドに魔法のような輝きを与え、あらゆる方向に光を分散して光を最大限に引き出してくれます。

ブリリアントカットとは

よく耳にする「ブリリアントカット」とは、18世紀に発明されたカットで、このカットの発明によりダイヤモンドの地位は不動のものになります。

ブリリアントカットは上部の「クラウン」と、下部の「パビリオン」とに分けたカット方法で、この二つの部分に分けたことによってダイヤモンドの透明度と輝きが最大限に引き出されるようになりました。
下の図で言うと、上部の台形部分がクラウン、その下の三角部分がパビリオンです。

ブリリアントカット

ラウンドブリリアントダイヤモンド

ラウンドブリリアントは最も美しく輝くように数学的に計算されたカットで、現在、一番の人気を誇る・最強の輝きを発する定番のカットです。

結婚指輪などでもよく見られるように、最もポピュラーなダイヤモンドカットの方法です。
本格的に発明されたのは1900年代のことで、数学者でもあるベルギーの宝石職人の手により発明されたと言われています。

反射や屈折率などの特性を基に、ダイヤモンドが最も美しく輝くように計算された結果、ランドブリリアントカットが誕生しました。
上部から入った光が内部で全て反射し、上部へ放出するように設計されています。

メレ-ダイヤモンド

ラウンドブリリアントの一種で、フランス語で小粒石を意味する「メレー」に由来し、0.2カラット以下の小粒のダイヤモンドをメレ-ダイヤモンドと呼びます。
さまざまな用途が楽しめる小粒のダイヤモンドで、粒ぞろいが美しさの決め手です。

何個も組み合わせてデザインしたり、脇役として活躍させたり、さまざまな使い道が楽しめるダイヤモンドです。

プリンセスカットダイヤモンド

プリンセスカットは四角形なのですが、ブリリアントの輝きを融合させたカットで、1970年代後半に商品化されました。

四角形のため、原石を有効に使え、ブリリアントカットよりも大きく仕上がります。

マーキスカットダイヤモンド

楕円状の柔らかな曲線の両端を絞り込んだ、舟形(ラグビーボールのような形)で、ダイヤモンドをより大きく見せる効果があります。

マーキスとは伯爵夫人を意味し、フランス国王ルイ15世に寵愛されたポンパドゥール婦人に贈られた称号でもあります。

当時のパリでは、舟形のダイヤモンドが流行し初め、ファッションリーダーでもあったポンパドゥール婦人にちなんでマーキスカットと呼ばれるようになりました。

ペア-シェイプダイヤモンド

洋梨形のシェイプをしたカットで、洋梨を意味する「Pear」ペア-が語源です。
一点が尖り、もう一方の端が丸い形が洋梨に似ていることからこう呼ばれています。

また、涙のしずく「ティアドロップ」と呼ばれることもあります。

長めで高品質の原石はこのシェイプに向いており、シンプルな石止めのペンダントに用いたり、細長いシェイプの効果で指をほっそり見せてくれるので、指輪にも人気です。

クッションシェイプダイヤモンド

クッションシェイプは丸みを帯びた四角形のカットで、ブリリアントカットの原点です。

18世紀に確立されたブリリアントカットはこのクッションシェイプで、長い間、ダイヤモンドカットの主流でした。

ハートシェイプダイヤモンド

アメリカ発祥のカットで、比較的新しいカットです。
文字通り、ハート形の輪郭をしています。

正方形内に収まるハートが良いと言われています。
研磨工の技量に大きく影響されるカットです。

トリリアントカットダイヤモンド

おにぎりのような三角形をしたダイヤモンドの原石が存在するのですが、この「マクル」と呼ばれる三角形の原石を研磨したものをいいます。

既成の枠には収めにくいので、あまり見かけないカットです。

ブリリアント以外のカット

前述しました通り、ブリリアントカットは18世紀に発明されたカットで、このカットの発明によりダイヤモンドの地位は不動のものになりましたが、当然のことながら、その他にも様々な方法のダイヤモンドカットがあります。

代表的なカットをご紹介します。

エメラルドカットダイヤモンド

エメラルドカットはステップカットの代表で、無色透明な原石を必要とします。

破損防止の為に四隅の角を落としたもので、エメラルドに対してよく用いられたカットであることに由来した呼び方です。

ブリリアントカットほどの厚みがないないため、輝きという点では少し見劣りしてしまいますが、テーブル面が広いので宝石の透明度を引き立たせてくれます。

バゲットカットダイヤモンド

バゲットカットは長方形のステップカットのことで、小粒のものがほとんどです。

バゲットカットはステップカットの中で最も有名なカットですが、上記の通りほとんどが小粒のものなので、中央に配置されたブリリアントカットの添え物として、脇に配置されることが多いようです。

ちなみに、バゲット(baguette)はフランス語で、固焼きフランスパンのことです。

ローズカットダイヤモンド

ローズカットはその名の通り、バラの花弁を思わせるカットです。

ブリリアントカットが人気になった後は、粗削りした後の端石や、厚みのない石がローズカットにされました。
現在でも、脇石として使われています。

ブリオレットカットダイヤモンド

ブリオレットカットは涙のしずくのような形をしたドロップ形で、周りを三角形か長方形、菱形の面で囲んだカットです。

揺れるとキラキラと輝くので、連結してネックレスにしたり、吊り下げてイヤリングなどに使われます。
ただ、長手で膨らみがあり、透明度が高い原石を必要とするため、見つけるのが困難なようです。

アンカットダイヤモンド

その名の通り、敢えて研磨しない状態で原石の個性を楽しむダイヤモンドです。
カットして洗練されたダイヤモンドとは違った、自然の趣があふれるダイヤモンドです。

ダイヤモンドの原石は一つ一つ違った個性を持っていますので、その個性を最大限に生かすような加工をし、ペンダントやネックレスなどに用いることが多いようです。

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